着物を着た女性がくるっと振り返っている様子の、大きなサイズの浮世絵切手をご存じですか?
インパクトのあるデザインなので「見たことあるかも…」と思う方も多いかもしれません。
この切手は「見返り美人」切手と呼ばれ、切手コレクターの間では有名な切手のひとつです。もしかすると、封筒に貼ってるのを見たことがある方や、「実家の押し入れから見つけたこれかな…!?」なんて方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は「見返り美人」切手についてご紹介していきます。
後半には「見返り美人」切手の中でも、価値の高い切手の特徴と、実際の買取相場についてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
「見返り美人」切手とは?
まずはじめに、「見返り美人」切手とはどういう切手かについてお伝えしていきます。
日本初の浮世絵切手
「見返り美人」切手は日本で初めて浮世絵を題材にされた切手です。1948年に切手趣味週間シリーズの第2弾として発売されました。
切手趣味週間とは?
切手を趣味で収集する人向けに郵政省(現在の郵便局)が作りました。当時は切手を趣味で集める方がとても多く、切手の発売日には、郵便局に長蛇の列ができたくらいです。ネットが発達した今では考えられませんよね。切手を発行する郵政省(現在の郵便局)も、切手のデザインに力を入れていて、使用目的というより、収集目的のためにこの「見返り美人」切手が発行されたと言われています。
江戸時代に活躍した浮世絵師・菱川師宣の名作「見返り美人図」が描かれています。
日本初の浮世絵切手ということで、当時としては大変珍しいデザインでした。当時の印刷技術は乏しく、茶色一色で印刷されていますが、単色ゆえに繊細なタッチが良く分かり、芸術性の高い切手となっています。
大きなサイズの切手
また、「見返り美人」切手は、サイズが大きいのも特徴の一つです。
ひとえに切手といえどサイズはバラバラですが、普通の切手は縦26mm、横22mmが一般的です。その反面、「見返り美人」切手は、縦67mm、横30mmと、普通の切手の3倍ほどの大きさがあります。
その大きさゆえに、ぱっと目を惹く切手で、一度見たら忘れられないでしょう。
3種類発行されている
「見返り美人」切手は、その人気ゆえに、これまでに3回発行されています。
発行タイミング | 額面 | 色 | 詳細 |
---|---|---|---|
1回目(1948年発行) | 5円 | 茶色一色 | 切手趣味週間シリーズ第2弾として発行 |
2回目(1991年発行) | 62円 | フルカラー | 郵便事業120周年記念切手として発行 多くの切手コレクターから熱烈な要望を受けての発行だったため、すぐに売り切れるほど人気でした。 |
3回目(1996年発行) | 80円 | 単色・カラー双方 | 郵便切手の歩みシリーズ第6集として発行 同じように人気の高い「月に雁」切手とセットで発売されました。 |
初回は1948年、今から70年ほど前に「5枚1シート」で発行されました。前述したように趣味で切手を集める人向けに発行されたため、発売から1週間ほどで売り切れてしまったと言われています。当時浮世絵切手はとても珍しく斬新で、海外のコレクターからの人気も高かったそうです。
2回目は、1948年に発行された初回切手の人気を受けて「再販」という形で、1991年に発行されました。このころには印刷技術が進み、フルカラーで発行されたため、その美しさがさらに際立ちました。
3回目は1996年、「見返り美人」切手と同じように人気の「月に雁」切手とセットで発行されました。「月に雁」切手とは、「見返り美人」と同じ歌川広重が描いた浮世絵で1949年に発行された切手です。どちらも人気の切手であるため、コレクターから高い支持を得ました。
「見返り美人」切手の中で価値の高いものは?
では、「見返り美人」切手の中でも価値が高いものの特徴についてお伝えしていきます。
ポイントは3つあります。
①1948年に発行された初回の切手
初回の1948年は150万枚しか発行されていない為、希少性が高いです。
浮世絵を題材にした切手で、発売から数日で完売したと言われています。また、日本のみならず、海外のコレクターからも人気が高い切手なので、その人気がさらに価値を高めています。
②シート状の切手
1948年の初回切手は、5枚1シートとして発売されました。
それぞれ使うときは一枚ずつ離して使いますが、5枚1シートとして現存しているものは、より価値が高くなります。
1枚でも切り離してしまうと、バラとみなされてしまい買取価格が減ってしまう恐れがありますので、シートのまま保存しましょう。
③保存状態のいいもの
切手は紙で出来ているため、破損や劣化しやすくなります。
保存状態がいい切手は買取価格も高くなるため、注意が必要です。特に1948年発行の「見返り美人」切手は、発行されてから70年以上経っていますので、折れていたり、変色、破れなどが懸念されます。
切手を綺麗に保つ方法として具体的には、直射日光を避ける、湿気を避ける、切手専用のファイルで保存する、タッパーに入れて保存するなどがお勧めです。
実際の買取相場は?
では、実際の買取相場について見ていきましょう。
前述したように「見返り美人」切手は3回発行されています。その発行年によって買取価格が変わってきますので注意が必要です。
切手の種別 | 買取価格の相場 |
---|---|
1948年発行(バラ) | 500円〜5,000円 |
1945年発行(シート) | 5,000円〜15,000円 |
1991年発行 | 額面通り |
1996年発行 | 額面通り |
1948年発行の「見返り美人」切手はバラ、すなわち1枚単位でも数千円で買取されています。
もともとの額面が5円ですのですごいですよね。また、シートの状態であればさらに希少価値が高く、買取価格が高騰していると言われています。1万円以上の値が付くことも珍しくありません。
さらに汚れや変色のない綺麗なシートは、5万円以上の価値がつくこともありますので、一度買取業者などに鑑定してもらいましょう。
ただ、1991年と1996年の切手は額面通りの買取価格になっています。現状プレミアはつかない場合がほとんどですが、保存状態によっては価値が上下しますので、一度買取業者にみてもらうのもいいかもしれません。
まとめ
ひとえに「見返り美人」切手といっても、発行年や額面によっていろんな種類があることがお分かりいただけたと思います。
古い切手だから…と捨ててしまう前に、その切手の歴史を紐解くのも楽しいですよ。
また高い買取が期待できそうな切手であれば、ぜひ一度買取業者に相談してみましょう。予想外の買取価格がついて、ちょっとしたお小遣いになるかもしれませんよ。
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